2014年03月10日

3・先住民族教育自治政策 BC州のファースト・ネーション

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250 経済学論集(民際学特集)

表1 条約委員会交渉の区分
Vol. 49 No. 1

第1段階 先住民族が条約員会へ交渉開始を希望する請求内容を記した趣意書送付

第2段階 条約委員会が,連邦・州政府並びに先住民族の三者へ交渉準備完了を報告

第3段階 当事者が交渉の主な内容, l3的,スケジュールを記載した枠組み合意を締結

第4段階 条約の基礎的条項を含む原則的合意の内容についての交渉

第5段階 条項の最終案の交渉。当事者全員が最終合意書を批准することで条約成立

第6段階 条約の条項の実施

1993-95年に交渉を希望する先住民族が第1段階である趣意書を提出しているが,この交渉プロセスは難航している。

2008年12月現在, 55グループが条約交渉に参加しており,内41グループが第4段階 5グループ (Maa-nulthFirst Nations, Lheidli T'enneh Band, Sechelt Indian Band,Sliammon Indian BandとTsawwassenFirst Nation)が第5段階にある42)。

(3) r先住民族教育改善協定 (AboriginalEducation Enhancement Agreement)J

先住民族教育改善協定(以下 EAと略称)は,学区,すべての先住民族コミュニティ,ナト|教育省の三者による協定として, 1999年に締結されたものである。 EAは,先住民族生徒の教育的な業績の強化と先住民族文化・言語学習をカリキュラムの導入を目的としている。 2009年1月現在,州内79学区の内, 44学区が協定を締結している43)。

最新の協定として, Snooke Boardとのものがある。 Snookとの本協定では,協定の目的として,以下の戦略が提示された44)。

・先住民族児童・生徒の(学業・職業・生活技術)成功と,より良い教育の選択を可能とするためのサポート強化。

・先住民族言語の使用と,先住民族の意識改革。

・先住民族児童・生徒・学校スタッフの先住民族史と文化知識の向上。

・すべての先住民族児童・生徒が学校へ好感を持つための設備とプログラミングの開発。

1991-2003年に,州政府は先住民族言語と文化を維持・強化を目的とした様々なプロジェクトへの資金供給のために,およそ1400万ドルをファースト・ネーションに割り当てるなど,積極的な政策を展開した45)。

しかしその一方で, 2006年の自由権規約委員会勧告では,先住民族言語を保存するためのプログラムにおいて,先住民族言語と文化についての時間枠に関するタスクフォースの薦める時間枠が考慮されなかった,また先住民族について伝統的な知識の保護と発展のために知的所有権が採用されなかったことを委員会から指摘されるなど不十分な点がある46)。

42) www.BC.net. 2008年12月24日採取。

43) Province 01 British Co/umbia: Education Agreement ωHゆ Sooke,M2 PressWIRE, April 9, 2009.

44) Ibid.

45) CCPR/C/CANI2004/5, para 693, November 18, 2004.

46) E/C.12/CAN/CO/4-5, para 33, May 22, 2006.

September 2009 カナダにおける先住民族教育自治政策 251

(4) ファースト・ネーション教育法 (theFirst Nations Education Act)

教育協定締結の意思を表明したファースト・ネーションは, I認定フ 7ースト・ネーション(Participating First Nations :以下 PFNと略称)Jと規定され, DIAND並びに州政府と交渉を始めることになる。

実際には, PFNに代わり, BC 州内のファースト・ネーションを統括する先住民族教育行政組織であるファースト・ネーション教育運営委員会 (TheFirst NationsEducation Steering Committee :以下 FNESCと略称)47)が,交渉する。

本協定の対象となったのは, リザーブ内に住み,ファースト・ネーションが運営する学校に通う,就学前教育から12学年までのフ 7ースト・ネーションである。協定の主な内容は,@リザーブにおける PFNの教育権限の認可,A PFN主導のカリキュラム並びに試験規定の作成,B教員免許,C初等・中等教育卒業資格の認定等である。

但し, PFN運営学校から州立学校への編入がペナルティなしで可能となる学習レベルの確保が必要条件として付け加えられた48)。

03年 7月24日, FNESC, DIAND並びに BC州政府は, PFN教育権限の要件を概説する「ファースト・ネーション教育権限覚書」に署名をした。

2006年12月に「ファースト・ネーション教育法」議案が議会を通過し, 2007年11月22日に施行した。

本法により,独立学校法,教職職業法,学校法が改正された49)。

以下は, Iフ7ースト・ネーション教育法」の概要である。

@ 本法により, BC州政府は,上述した教育権限協定を締結した PFNの BC州法における教育権限を認め,リザーブでの教育を尊重した法律の制定を認める。

A BC 州政府は, PFNによって提供されるプログラム,評価,教師任用,卒業資格またはカリキュラム,及びそれに関わるどんな問題,それに影響を及ぼすかもしれない\,、かなる教育方針,法律または規定に関する変更においても, PFNと協議する。

B 本法の規定が矛盾するもしくは,抵触する場合は,本法を優先する。

C PFN運営学校は,独自の卒業資格と同時に,州の卒業資格を得ることが出来る。

以上, BC州は, Iファースト・ネーション教育法」の成立によって,先住民族教育政策の一つのモデルを作ったといえるであろう。

筆者は本法において, 80代後半の BC州教育改革の影響があったと考える。

本法概要のAと改革の「保護者・コミュニティの関与として,親の学校参加,当該学校コミュニティ固有の教育におけるニーズを反映した教育実践等」に類似性がある。

簡単に比較は出来ないが, BC州側の公立学校教育改革の内容の検討は今後の課題としたい。

以下では BC州内の土地権益請求協議における教育権限の交渉事例を述べる。

47) http://www.fnesc.ca.

48) 広瀬.2006年, 17頁。

49) http://www.leg.bc.ca/38th3rd/1sCread/gov46-l.htm. 2008年10月1日採取。

学校教育制度の枠組みを設定する法律は,各州及び準州で学校法 (SchoolActlあるいは教育法 (EducationAct)と呼ばれることが多い。

このような学校法や教育法は,運営,資金,管理の枠組みと学校制度の組織構造を既定するものである。

252 経済学論集(民際学特集) Vol. 49 No. 1
4.土地権益請求協定における先住民族教育権限
(1) Nisga'a民族の運動
ニスガ (Nisga'a)民族は, BC州北部のナス川中流から上流にかけて生活圏を持つ言語グ
ループである。連邦政府との条約を結ばずにきた BC州の先住民族の中で,土地権益を求めた
条約締結に向けて最も早〈運動に入ったのが,ニスガ民族であった50)0 1890年に,ファースト・
ニスガ土地委員会が結成されたが,その後ほとんど進展のないままの状態が長〈続き,ようやく
1974年に連邦政府とニスガ民族との聞で交渉が開始された。 1998年8月4日,連邦政府と BC
州政府,ニスガ民族との聞で20年以上を掛けた交渉が最終協定として仮調印された。 2000年4月
13日に連邦議会の上院を通過し,国王の裁可を経て,ニスガ条約は正式に発効した。 BC州初の
現代条約の誕生である。同年2000年5月,ニスガ自治政府が発足した。
ニスガ民族はカナダ憲法の下で先住民族として存在し続け,カナダ市民の受ける恩恵と権利を
持つことが確認された。ニスガ最終協定では,条約と土地請求協定について1982年憲法25条なら
びに35条に準拠するものであることが明示された。また今後は,インデイアン法の適用を受けな
いことになる。土地について,ナス川下流地域1,992平方キロメートルの土地をニスガの土地と
定めた。これまでニスガのテリトリーは24,802平方キロメートルとされていたので,このうちの
約10%がニスガ民族のものとされたことになり,その他は固有地もしくは州有地となったニスガ
の土地の鉱物や森林の開発については,ニスガ政府の許可を得た上で,ロイヤリティをニスガ政
府に支払うことになる51)。他の財政的な利益で2,150万ドルと同様に 1億9,000万ドルを提供する52)。
(2) ニスガ条約における教育
ニスガ条約は.BC州初の現代条約であり,カナダでは1976年以降, 14番目の現代条約となる。
上述の通り,ニスガ政府は.1982年憲法の下で活動をする。立法権限がある分野は,政府の管理,
土地,資産,ニスガ民族の市民権,言語並びに文化に及ぶ。文化・教育関連分野として,第一に,
文化・言語の保存と開発。第二に,ニスガ領域内で,就学前教育から12学年生までの聞にニスガ
言語と文化を教えることを含む教育の管理。第三に,ニスガ領域(第92番学校区53)) における高
等教育機関の設立,初等・中等教育におけるカリキュラム作成,教員任用,州基準に相当する成
人教育を含む高等教育の管理などがある54)0 1999年の推定教育予算は940万ドルで, BC州政府
50) 浜由美子「ニスガ民族 (Nisga'aNation)原則合意 (AIP)調印の背景Jr十文字学園女子短期大学研
究紀要.128, 1997年。 CheryL Coull, (A Traveller's Guide to: Aborigina\ B.C.), Whitecap Books,
1996
51) 朝日新聞, 1998年8月6日付。
52) CCPR/C/CAN/2004/5, para 685, November 18, 2004.
53) Schoo\ District#92 (Nisga'a), http://www.nisgaa.bc.ca/conted.php. 2009年1月9日採取。
54) 条約締結前においても,教育への関心は高いものであった。 1960年代半ば,ニスガの父母及び民族会
議 (Triba\Council)が, DIANDと教育問題を協議した。 1974年1月.二言語二文化カリキュラムノ
September 2009 カナダにおける先住民族教育自治政策 253
が20万ドル,連邦政府が920万ドルを負担する。
現在,ニスガには 5つの小学校施設が 4つのニスガ・コミュニテイに配置されている。教
育委員会は 4人のニスガ民族出身者と 1名の非先住民族出身者で構成されている。ニスガ政府
は,ナス・バレーすべての青少年の教育レベル向上の為に,ニスガ言語と文化の促進を学区と共
に行い, BC 州ならびに北アメリカ地域おいて,高等教育を就学中のニスガ学生への学資助成を
行っている5)。またニスガ賢者の家 (WilipWilxo'oskwhl Nisga'a/Nisga'a House of Wisdom,
以下 WWMと略称)は,ニスガコミュニティと指定された都市センターにおいて,ニスガ言
語・文化を基礎とした高等教育フ。ログラムを提供しており,世界中から研究者がナス・バレーに
てニスガ文化を学んでいる。また, WWNは北プリティッシュ・コロンピア大学と提携して,
ファースト・ネーション学学士号,大学準備コース並びにニスガ言語・文化における教育修了証
を提供する。現在,ニスガ政府は,ニスガ地域における高等教育施設並びにキャンパスの設置を
目指している。
しかしながら,本条約はその権限において重大な制約があることに留意しなければならない。
例えば,児童福祉分野において,ナト同しくは地方の規格と同等以上の場合にのみ,ニスガ法に優
先権があり,連邦若しくは州、法が適用し続けるということである56)。また,カリキュラム,試験,
その他,他校へ編入する際に,ペナルティなしで許可されるための学力レベルの達成と,州の高
等教育機関への入学が許可されるレベルを達成していることを条件とされている。教員任免につ
いては,州内の公立あるいは私立学校で教鞭をとることが出来るレベル相当であることが条件と
なっている。またニスガ法における高等教育に関する立法において,州、|における標準レベルに相
当することが必要とされた57)。ニスガ条約は土地権益請求交渉の一つであるが,その重要な交渉
カテゴリーとして教育が掲げられた。 2004年年次報告書によれば,第92番学校区における12学年
卒業率は39%から65%になった58)。未だ州の標準より低いが,大きな成果と言えるであろう。
むすびにかえて
カナダ・ BC州における先住民族の教育権限について述べた。 BC州は,先住民族の教育政策
の転換が目覚しし、州である。カリキュラムにおいて,先住民族研究を必須科目としているのは
BC州の他に,サスカチュワン州,ユーコン準州など少数である。教育における保護者の参加を
勧める政策を展開する中で,ファースト・ネーション教育法が,保護者ならびにコミュニティの
積極的な参加を保障していること。また教育プログラム,成績評価,教員免許,卒業資格または
\の導入を目指して, BC州教育担当相と協議し,州、比 DIANDの財政援助を受け, 1975年,第92学校区
(ニスガ教育委員会)を設置した。
55) Nisga'a lisims government, Nisga 'a 1mρlementation Report 2004-2005, 25-27pp.
56) INAC, Fact Sheet,' The Nisga'a Treaty, http目//www.ainc-inac.gc.ca. 2008年11月26日採取。
57) Paulette C. Tremblay, First Nations Educational Jurisdiction, AFN, August 2001, 47pp.
58) Colleccted Wisdom, Nisga'a Annual Rψort 2004.
254 経済学論集(民際学特集) Vol. 49 No. 1
カリキュラムなどの教育権限を連邦・州政府から PFNへ委譲した点は,先住民族による自治権
獲得運動において,大きな成果となった。これは,子どもの権利条約第5条(親などの指導,責
任等の尊重)ならびに世界人権宣言第26条(教育の権利)等で規定される人権である点からも意
義深いものである。
更に BCナトドファースト・ネーションの教育政策の向上は,全国的な活動 (rインデイアン教育
はインデイアンの手でJ/ rTradition and Education: Towards a Vision of our FutureJ)なら
びにDlANDとの交渉の成果である。 BC州を先例として,各州、|が今後どのような政策を展開す
るのか注目したい。
しかしながら,一方で問題も山積しているのが現状である。 2008年7月の新聞記事によると,
リザープ内の学校に通うファースト・ネーションの卒業率は, 1996年, 2001年, 2006年(最新)
いずれも40%台であった59)。カナダ全国で先住民の権利に関する交渉が行われていることを考え
ると,最近のDlANDの教育政策でさえ,ファースト・ネーションの学習環境に良い影響を与
えられないでいる原因があることをうかがわせる。本稿ではその点を扱うことが出来なかったが,
BC州の現状分析による原因解明を今後の課題としたし、。
参考文献一本稿に用いた参考文献は,主として「注」に挙げられている文献であるので,ここでは省略
する。
(受付 2009年2月10日)
59) Caro\ Goar, Subst仰向rdschool fail nati叩., The Toronto Star, lu\y 14, 2008.


http://repo.lib.ryukoku.ac.jp/js
http://p220.pctrans.mobile.yahoo-net.jp/fweb/0310XvogcjmZ9C5f/0?_jig_=http%3A%2F%2Frepo.lib.ryukoku.ac.jp%2Fjspui%2Fbitstream%2F10519%2F474%2F1%2Fr-kz-rn_049_01_015.pdf&_jig_keyword_=%83j%83X%83K&_jig_done_=http%3A%2F%2Fsearch.mobile.yahoo.co.jp%2Fp%2Fsearch%2Fpcsite%2Flist%3Fp%3D%2583j%2583X%2583K%26b%3D33%26trans%3D1&_jig_source_=srch&guid=on
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2・先住民族教育自治政策 BC州のファースト・ネーション

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このガイドラインの発表以降,カナダ各地で自治(政府)協議が行われ,同様に教育に関する自治が協議された。連邦政府と先住民族両者の自治権の範囲についての相違によって,自治協議が最終合意に達することを困難にしていることに留意しなければならない27)0 1996年,王立先住民族委員会がカナダ総督に提出した最終報告書の中で勧告をし,それを受けて,連邦政府は先住民族に対して和解声明を発表した。

(4) 力を結集してーカナダ先住民族行動計画 (GatheringStrength一Canada'sAboriginal Ac-tion Plan)

1998年1月に, DIAND大臣は, AFNとの協議を行った結果, I力を結集して カナダ先住民族行動計画 (GatheringStrength一Canada'sAboriginal Action Plan :以下行動計画と略称)Jを発表した。

これは,連邦政府と先住民族が対等なパートナーシップを築くとともに,先住民族と非先住民族の相互理解を深め,先住民族自身による統治体制を強化し,先住民族が独立独行していけるような財政援助の仕組みを構築すること,そして先住民族コミュニティの経済活性化を支援することを目標としたものである。

DIANDは,行動計画の中で,先住民族が教育権保障を得

24) 浅井晃『カナダ先住民の世界』彩流社, 135-136頁。

25) 連邦政府がここでいう先住民族自治政府とは,連邦・州政府と並ぶ「第三の政府」として,扱うものではないことに注意が必要である。 PauletteC. Tremblay, First Nations Educational Jurisdiction,AFN, August 2001, 32pp.

26) Nancy A. Morgan, Legal Mechanisms for Ayymption of Jurisdiction付 FirstNations, The First Na-tions Education Steering Committee, June 1998 (Revised), 24-25pp 広瀬健一郎「カナダにおける先住民教育権の保障に関する研究Jr文化女子大学室蘭短期大学研究紀要J26号, 2003年, 35頁。

27) Noah Augustine, Sove吋 igentyKey Issue for Aboriginaks, The Toronto Star, January, 1, 2000

September 2009 カナダにおける先住民族教育自治政策 247

方法として,以下の2点を提示した。

第一に,既存の条約をもとに,連邦,州ないし準州政府並びに当事者であるファースト・ネーションの三者が共に,条約権における教育権の内容を定義すること,又はインデイアン法の枠内で法律を整備することである。

第二に,土地権益請求協議や先住民族自治政府協議,先住民族教育自治協議等を通じて,教育権の内容を定義し,連邦政府や州もしくは準州政府とファースト・ネーションの三者が協定を締結することを打ち出した28)。

その上で,教育権限が,個々のバンド,連邦政府,州もしくは準州政府による三者合意によって定義・保障されること。

そうでない場合は,インディアン法の下に置かれるか,州もしくは準州政府の下で,一般カナダ市民と同列に扱われる29)。

尚,教育権限協定を締結した場合,インデイアン法の教育条項の対象外となる。

後述する BC州のファースト・ネーション教育法は,第二の方法で締結されたものである。

行動計画以後の教育プログラムとして,先住民族癒し基金,先住民族言語プログラム,先住民族ヘッド・スタート計画,教育改革基金並びにファースト・ネーション・イヌイット青年雇用戦略が決定した。

紙幅の関係上,簡単な紹介のみにとどめる。

・先住民族癒し基金 (AboriginalHealing Foundation) 2000年度, 4000万ドルを投じ,先住民族自治の強化・障害児教育や言語・文化学習の指導方法の改善に利用30)。

・先住民族言語プログラム (AboriginalLanguages Initiative) 1998年,先住民族の言語を話す人口を増やし,代々引き継いできた言語を継承することによって,家族とコミュニティが次世代の為に先住民族言語を維持することを目的とする。多目的先住民族センターを設置して,先住民族文化や言語学習プログラムを提供する31)。

・先住民族ヘッド・スタート計画 (AboriginalHead Start On Reserve) 1995年に始まったが,行動計画後, 1998年にプログラムを拡大。先住民族青少年プロジェクトとして文化,言語,教育,健康促進,栄養物摂取,社会的サポートなどの部門で展開問。

・教育改革基金 (EducationReform Fund) AFNとの協議を経て設置。先住民族自治の強化,障害児教育や言語・文化の指導方法の改善を目指す。

・ファースト・ネーション・イヌイット青年雇用戦略 (FirstNations and Inuit Youth Em-ployment Strategy Annual Report) リザープに居住する登録フ 7ースト・ネーションとコミュニティ在住のイヌイットを対象とする。ファースト・ネーション・イヌイット夏期学生職業紹介プログラム,ファースト・ネーション・イヌイット科学技術キャンプ,ファースト・ネーション学校共同プログラム,ファースト・ネーション・イヌイット青年職業体験プ

28) Minister of IndianbAffairs and Northern Development, Gathering Strength-Canada's Aboriginal Ac-tion Plan, 1997.

29) 広瀬, 2006年, 29, 38頁。

30) http://www.ahf.ca/announcements. 2009年 2月9日採取。

31) http://www.pch.gc.ca/pgm/pa.app/pgm/i1a-ali/guide-eng.cfm# a2, 2009年2月9日採取。

32) http://www.hc-sc.gc.ca/fniah-spnia/famil/ develop/ ahsor-papa_intro-eng.php, 2009年2月9日採取。


248 経済学論集(民際学特集) Vol. 49 No. 1
プログラム,ファースト・ネーション青年ビジネス・プログラムがあるお)。

2章では,連邦政府の対先住民族教育政策について概観した。

1972年の「インデイアン教育はインデイアンの手でJより,教育自治を求める動きは始まったが,政策に大きな動きを伴うようになったのは1982憲法制定後以降のことである。

先住民族側は,一貫して教育自治を求めてきたが,その 1つの成功例が, BC 1十|である。

3章では, BC 州におけるファースト・ネーションの教育政策を通して,その問題点について述べることにする。

3. BC州における先住民族政策

(1)先住民族の法的権利

BC州における先住民族教育政策は, 1849年に,ハドソン湾会社が,初等学校を創設したことに始まる34)0 1867年憲法により,連邦政府に先住民族教育の責任があることは上述した。

また1870年,連邦政府がリザーブに送り込んだ宣教師による教育システムの策定が始まりとなる。

その後,長きに渡って行われた先住民族同化政策(寄宿学校への分離政策や統合教育政策)は,BC州でも例外なく実施された。

BC州内の先住民族の権利を検討するにあたり,他州と大きく異なる点がある。

それは,ナ'"の先住民族の大半が, DIANDや1866年以前における英国政府とも,条約を結んだことがないという点である。

その為, BC州の先住民族の多くが,伝統的・文化的に深いかかわりがある土地と,その土地の資源の権利を,正式に手放したことがないのである。

他州の先住民族は,昔から連邦政府と条約を結んでおり,土地や資源の権利をはじめとして,様々な権利(条約権)を確立している。

但し,条約に関する問題点は多く,その合法性についての訴訟は絶えないが,条約の存在により,先住民族の自治権と土地・資源に対する管理権の性質と範囲は,一般的に BC州より明確と言える。

もう一つ,先住民族の権利として,土地に対する先住権原があり,土地・天然資源の利用や漁携,狩猟,山菜採取などが,これにあたる。

1982年憲法は,条約権と先住権が認知されているとして,憲法上の条項により,政府はつねに正当な理由なしに権利を侵害してはならないとした35)。

また裁判所が先住民族グループの伝統的領土の一部での経済開発をする場合は,事前に当該先住民族と協議を行い,先住民族の利益を考慮するよう,政府に命じる一連の判決と,先住民族の組織的活動及び先住権への一般カナダ社会からの支持が増加するにつれて,それまで先住民族との交渉を無視してきた BC州政府は,そ

3) http://www.ainc.inac・gc.caled ul epl ysl iyel ywe 1・eng.asp,2009年2月9日採取。

34) F・へンリー・ジョンソン著,鹿毛基生訳『カナダ教育史』学文社, 1984年, 81頁。

35) 1982年憲法25条「この憲章における権利および自由の保障は,次の各号に含まれるカナダの先住民族に関する先住民族としての,条約上の,もしくは他の, ~ 、かなる権利または自由を廃止する,あるいは減ずるものと解釈されてはならない。

(a)1763年10月7日の国王宣言によって認められたいかなる権利または自由(b)土地請求に関する協定により獲得できるいかなる権利または自由。太田唱史, r先住民族とカナダ市民権一一植民地主義を越えて一一J同志社法学会『同志社法学J55(3), 2003年9月。

September 2009 カナダにおける先住民族教育自治政策 249の政策転換を迫られることとなったのである。

1990年8月,州政府は,先住民族,連邦政府の三者による交渉への参加を承認した36)0 BC 州政府は, I先住民族諮問に関する州政策」を策定し,資源開発その他,土地を利用した経済開発に関して,各省庁が先住民族と協議を行う義務を詳細に規定した37)。

(2) BC州条約委員会 (BCTreaty Commission)

現代の条約交渉の目的は,現在においても法的定義が明確ではない様々な先住権について,範囲を特定,定義し,近代的な条約に書き換える点にある。

1992年,ファースト・ネーション,連邦政府, BC 州政府の三者は,条約権交渉を進めるにあfこって,条約交渉のスムーズ化を目指して,中立の機関となる BC州条約委員会(以下条約委員会と略称)を設立した38)。また,先住民族代表と連邦・州政府の代表が IBC条約委員会協定(The British Columbia Treaty Commission Agreement) Jに署名,条約締結協議に同意した39)。

1993年には,州・連邦・先住民族の代表が構成する条約委員会が設置された。これにより, 1992年以降,条約を締結していない先住民族と,新たな条約を締結する土地権益請求協議,教育自治協議などが交渉が行われるようになった。その交渉過程は,表1のように 6段階に分かれている40)。

この条約の主な内容は以下の四点である。

・伝統的な領土内の土地や資源から,権益を一貫して所有している先住民族の許可を得ずに非先住民族社会が利益を得てきたことへの経済的支払い。

・特定の土地を「条約和解地jとし,先住民族の共同所有とする。「条約和解地」の分配が困難な場合には,現金による支払いを行う。

・条約に先住民族の管轄権条項を盛り込む。社会,文化,資源管理,土地への権限を含む。

. I条約和解地」に住む先住民族に対する現行の免税措置の廃止,先住民族への交付金を定めた規則,先住民族は将来的な請求権を放棄するという法的拘束力のある約定41)。

36) Chief Joe Mathias, Miles G. Richarsdon, The Report 01 the British Columbia Claims Task Force,June 28, 1991, 7-8pp.

37) Jock A. Finlayson著,ジェトロ・パンクーパ一事務所訳, rカナダ・パンクーパーのビジネス環境一2001年6月以降のプリティッシュ・コロンピア州政府の政策転換および法改正,ならびに州のピジネス環境に対するその影響J,2004年 1月, 54頁。

38) http://www.bctreaty.net/files/about-us.php. 2008年11月1日採取。

39) 岩崎まさみ「カナダ先住民による海洋資源の管理:カナダ西部極北地域のイヌピアロウイットとプリティッシュ・コロンピア州先住民族のケースから」岸上伸啓(代表)r基盤研究A

(2)先住民による海洋資源利用と管理:漁業権と管理をめぐる人類学的研究 (1999-2001)研究成果報告書J.53頁。

40) Chief Joe Mathias, Miles G. Richarsdon, The Report 01 the British Columbia Claims Task Force,June 28, 1991, 16・18pp.

41) Jock A. Finlayson, 2004年, 56頁。
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1・先住民族教育自治政策 BC州のファースト・ネーション

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カナダにおける先住民族教育自治政策

プリティッシュ・コロンピア州のファースト・ネーション


はじめに

1. BC州の義務教育制度
2.先住民族教育の変遷
一教育自治という考え方
大山万里子

目次
3. BC 州における先住民族政策
4.土地権益請求協定における先住民族教育権限
むすびにかえて


はじめに
239

1982年憲法法において,カナダの先住民族は「インデイアン(ファースト・ネーション)J,「メティスJ,rイヌイットJと定義される。

プリティッシュ・コロンピア州 (BritishColumbia :以下 BC州と略称)には,カナダ全体の三分のーにあたる 198のバンド1)があり, 1650ヵ所のリザープ (reserve:居留地)がある。

その中には,実際に先住民族2)であるファースト・ネーション(インデイアン)が居住していないリザープも多くあり,リザープ居住者の中には非先住民族が多くいる。

リザープは州総面積の0.36%を占めており,先住民族人口は,州の 3-4 % (11万5000-14万5000人)である。

リザープ内にファースト・ネーションが運営するバンドスクール (BandSchooI)が143校あり,約5000人の先住民族の生徒が通っている。

連邦政府は, 1867年憲法(英領北アメリカ法)91条24項に基づき,ファースト・ネーション並びにリザープに対して,立法権能を持つ。

実際には連邦政府のインデイアン問題北方開発省(Ministory of the Indian Affairs and Northem Development :以下, DIANDと略称)が担当する。

リザープに住むファースト・ネーションに関しては, DIANDが教育権限を持つ。尚 1)

1)

1876年「インデイアン法{IndianAct} J第 2条によって.居留地を単位とするインデイアン(ファースト・ネーション)組織をバンドと定義。

インデイアン登録簿に記載された者が登録ファースト・ネーションとなり,インデイアン法の適用となる。

本稿の「ファースト・ネーション」は,この登録簿に記載され,かつリザープ在住のフ 7ースト・ネーションに限定する。

尚,カナダ先住民族の区分については,衛藤憲司「カナダの先住民に関する法制度一権利の憲法保障化Jr外国の立法~ 32 (2・3),国立国会図書館調査立法考査局, 1993年12月, 104, 107頁,を参照のこと。

2)

文中では,可能な限り「ファースト・ネーション」を使用する。

240 経済学論集(民際学特集) Vol. 49 No. 1

ザーブ外に住むファースト・ネーションの教育権限は州にある。

インデイアン法は, DIANDがリザーブ内学校の設置・運営,教育について,州政府や地方教育委員会等と協定を締結し (114条),学費,通学費などを支出する (115条)等を規定する。

DIANDは,これらの条項に基づき,フ7ースト・ネーションに対して教育費等の補助金を支給する。

ファースト・ネーションへの教育政策は,大きく区分すると分離,統合の同化政策と,部分的教育自治へと段階的に移行してきた。

分離政策は,子供を家族やコミュニテイから切り離し,カナダ主流社会への同化目指すため,キリスト教会運営の寄宿学校へ入学を強制し,彼らの母語や母文化の剥奪を行った。

ファースト・ネーションは, 1900年代中頃までの約 1世紀の間,子供達を寄宿学校へ引き渡すことを法的に強要されたのである3)。

第二次世界大戦後,寄宿学校への強制に対して批判の声があがるようになると, DIANDはそれまでの分離政策を止め,既存の公立学校に入学させた4)。

一般の子供たちと同じ学校で教育する統合政策により,既存の教育制度に適合することを目的とする新たな同化政策へと移行した。

これは,州政府にファースト・ネーションの教育における役割を背負わせることで DIANDの教育に対する責任を放棄することが狙いでもあった。

ファースト・ネーション生徒の半数以上が公立学校へ通ったが,ファースト・ネーションを含む先住民族を蔑視する教科書がそのまま使用されていたり,非先住民族教師の無理解などによって,非常に辛い学校生活を送ることとなり,圏内の他民族グループと比較しでも,中等学校卒業率は最低であった。

公立学校以外に, DI-AND直轄校であるリザーブ学校が創設され,多くの先住民族の子どもが通学した。

また,統合政策が行われた1960-70年代,言語伝承の断絶が進行した。

教育はカナダ主流社会への同化の手段として利用されてきたのである。

現在は部分的教育自治の段階にある。

本稿では,自治権獲得に関する先住民族運動の中で,ファースト・ネーションの教育権限(教育の自治権)がどのように取り扱われてきたのか。

また, BC 州の教育制度,全国的な先住民族の活動ならびに連邦政府 .BC州政府の政策を通して,先住民族の教育政策を概観する。

1. BC州の義務教育制度

(1)教育管轄権

カナダでは,教育の権限は州にある。

そのため,日本の文部科学省に相当する中央教育行政機関は存在せず,各州に文部科学省に相当する教育省があり,財政,法規,運営上の責任は州に委ねられる。

1867年憲法第93条は,教育に関する州の独占的な権限を明示している5)。

教育省は,3) アメリカ先住民族も同様の寄宿学校での同化政策が行われた。

鎌田遵『ネイティブ・アメリカンー先住民社会の現在.1(岩波新書), 2009年1月。

4) Lupin Battersby, Lorraine Greaves and Rodney Hunt, Legal Redress and Institutional Sexual Abuse:A Study of The Experoences of Deaf and Hard of Hearing Survivors, Florida Coastal Law Review,Fal, 2008, 10FL. Coastal L. Rev. 67.

5) 93条:各州において,また各州のために,立法評議会は次の規定に従い,教育に関して独占的に条ノSeptember 2009 カナダにおける先住民族教育自治政策 241教員免許状の発行,教育課程のガイドライン作成,あるいは州内各学区に設置されている教育委員会 (schoolboard)及び高等教育機関への財政援助などの事務に携わっている。尚.BC 州の初等・中等教育における07年度の年間予算は. 51億カナダドルである6)。

(2) 教育委員会

BC州における教育活動は,各学区に置かれた教育委員会や学区,学区教育審議会などに委ねられる。

教育委員会の権限は,各州、|の法令により定められる。

その主な役割は,初等・中等学校の管理・運営,教員の任用,教員給与についての交渉,設備・備品の購入,児童・生徒への通学手段の提供,当該地域の教育予算の作成・分配などである。

またカリキュラム基準の作成において,ナト|の定めるガイドラインの枠内で比較的大きな裁量権を持つ7)。

教育委員会は,通常,定められた管轄内の教育活動やプログラムの実施に関する政策立案と機能決定の権限が与えられる8)。

委員は. 2 -3年の任期で,選挙または任命で選ばれる。

BC州政府は教育委員会理事に対して,助言,指導の権限を持っているが,最近は各教育委員会の自主性を尊重し,運営を任せる傾向にあり,その方針が評価されている。

(3)就学

州によって義務教育年が異なるが. BC 州では. 6 -16歳が義務教育年齢となる。

初等教育は1年生 (7歳)から 7年生 (13歳)までの 7年制で,中等教育は8年生 (14競)から12年生(18歳)となる。

いずれの州においても,公立学校による18歳まで無償の初等・中等レベルの教育はカナダ市民及び永住者に対し,無償で提供される。

(4) カリキュラム・科目

カリキュラムは州教育省の定める一般的なガイドラインに従い,地方教育委員会や学校が,地域や学校の実情に応じて作成する。

BC州の中等教育の卒業に必要な主要教科は,国語,社会あるいは BC州先住民族研究,数学,科学,体育,プランニング,美術あるいは応用技術となっており. BC州では,先住民族研究カリキュラムを設けており,地域先住民族の歴史,文化,言語支援などの科目が選択可能である9)。

\例を作成することができる。

1項:この条例のいかなる条項も,すべての階層の住民が連邦内の州条例によって維持する州は学校に関する権利又は特権に対し,不当に影響を及ぼすことはない。

6) Emery DosdaU, Using Dataω1mρrove Educa抑制1Results for Aborigi削 1Students, OECD Seminaron Indigenous Education, May, 2007, 3-4pp.

η 文部省大臣官房調査統計企画課『諸外国の学校教育(欧米編)11982年12月, 307頁。

8) 権限の内容として,管轄地域の学校運営と財政,カリキュラムの実施と監視,人事,生徒受け入れ,学校新設・増築費用およびその他支出に向けての資本計画の立案などがある。

9) BC州では,卒業するためには11年次と12年次であわせて52単位取得しなければならない。

多くの科目は1科目 4単位でゐる。

52単位のうち, 28単位は基礎科目, 10単位は州の承認を受けた選択科目でなくてはならないとし,残り14単位は地域で開発されたものなどのその他の選択科目から取ることができるとしている。

カナダ都市研究所箸, Japan Communications Inc訳『カナダにおける義務教育制度ノ242 経済学論集(民際学特集) Vol. 49 No. 1BC州全体の共通テストとして,学力判定試験と資格認定試験(州学力判定プログラム)がある。

学力判定試験では,読み,書き,計算能力科目を4,7, 10年生に年 1回行う。

資格認定試験は, 12年生を対象に21教科を年に 5回行う 10)。

以上の教育プログラムを修了すると, BC州中等教育卒業証書 (Dogwoodll)Diploma)が授与される12)。

(5) 教員養成

教員養成は各州内の大学で行われ,学生の大学の成績に基づいて各州が教員免許状を発行する。

(6) 保護者・コミュニティの関与

1980年代後半から初等・中等教育を中心とした,教育改革が行われた。

そこでは,地域社会とのパートナーシップが重要なキーワードとなっていた13)。

近年,カナダの教育分野では,保護者の関与が重要であると認識される傾向にあり,各州、|・準州が独自に展開をしている。

BC1十|では,教育に対する保護者を含む,住民の活発な参加を確立するために, 1996年の学校法改正により,保護者諮問委員会 (ParentAdvisory CounciJ)が設立され,学校関連事項に関する委員会,校長,学校教職員に助言を与えている。

この保護者諮問委員会の下部組織として,地区保護者諮問委員会があり,学区内の教育関連事項に関して教育委員会に助言する。

更に, 2002年から,学校計画委員会 (SchoolPlanning Council :以下 SPCsと略称)が各校に設置され始めた。

その目的は,親の学校参加の重要性を認識し,また当該学校コミュニティ固有の教育におけるニーズを反映した教育実践を可能とすることである。

SPCsの機能は,助言機関と位置づけられており,その主要な責任は,子供の成績改善のための学校計画の開発,モニター,そして学校コミュニティの意思を反映させることである。

また SPCsは,当該学校におけるスタッフや資源の割当,当該学校の教育サービスやプログラム教職員の配置,委員会の説明責任に関する規約,について教育委員会と討議,助言をすることが出来る14)。

\の概要』自治体国際化協会, 2007年, 53頁。

10) 州による試験が課せられるのは,英語,コミュニケーション,フランス語(フランス語で教育を受けているものに対して)であり, 12年次選択科目の多くも同様である。

州による試験は生徒の最終成績評価の40%に換算される。

また,カナダ西部州でカリキュラム統合を目指すカナダ西部協定(算数・数学,言語科目カリキュラムの統合)や共通テストへのニーズへの対応が図られている。

また教育を州が管轄することで,全国レベルで情報交換や協力調整などを行う機関として,各州の教育大臣審議会(Counci! of Ministers of Education)が1967年に創設された。

11) BC 州花の名前。

12) カナダ都市研究所, 2007年, 28, 102頁。

13) 文部省大臣官房調査統計企画課, 1982年, 307頁。

14) 関連条項は学校法第 5,8, 10, 1, 13条。

平田淳「第 2部第1章4節 学校評議会の新しい動きー諸州におけるスクールカウンシル」小林順子・関口礼子他編著『カナダの教育2 21世紀にはばたくカナダの教育』東信堂, 2003年, 140頁。

詳細は以下 http://www.BCed.gov.BC.ca/legislation/schoollaw/re-visedstatuescontents.pdf

September 2009 カナダにおける先住民族教育自治政策 243

(7) 州における教育予算の確保

BC州は,州の歳入からの交付金(内,固定資産税は予算の30%を占める)により,公立学校の運営を行っている。

州全体一律の教育税率を設定し,すべての地域教育委員会が管理する。

州が教育を管轄する現在,教育資金の確保は州・準州が行うとされており,各州・準州の教育庁が教育委員会への資金提供の責任を負う 15)。

(8) 私学助成

独立学校(IndipendentSchools), Private Schoolsは一般に有償となっている。

BC什|における教育改革は1980代の経済発展が大きな要因である。

1987年に教育に関する州の調査委員会が発足し,翌年提出された「学習者への遺産 (ALegasy for Learners/サリパン)報告書」では,カリキュラム,教職,学校財政,教育行政の分野が扱われた。

その報告書の中で,独立学校についても勧告された。

BC州では, 1978年から独立学校への公費支出が開始され,現在は最も整備された私学助成制度を持つに至る。

その報告書にしたがって, 1989年, I独立学校法」が制定された。

本法では,独立学校は5種類に分類され,バンドスクールもこれにあたる。

認定校には最大50%の学校運営費が補助される。

しかしながら,助成を受けられる条件として,州規定のカリキュラムの完全遵守,資格のある教員の雇用,定期的な監査を受け入れが求められた16)。

2.先住民族教育の変遷一教育自治という考え方長きにわたってファースト・ネーションは,連邦政府や州政府,教育委員会に対して,先住民族自治体を代表して発言する機会や権限が法的に保障されず,教育課程の決定や教職員の採用などの重要事項を検討する権限は,先住民族側になかった17)
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カナダ ー “ナス河の民”ニスガの壮大な実験

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#ккк #Misga' #Nisqa #Niska


#カナダ ー “ナス河の民”#ニスガ 壮大な実験
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カナダ ー “ナス河の民”ニスガの壮大な実験

1999.12.03 by yukkuri


霧雨の朝、村の中心に礼装の人々が集まり始める。

赤黒2色の外套をまとい、冠をつけて、自分の家柄と氏族(クラン)を誇示する。

やがて太鼓の音が響いて、儀式の開始が告げられた。

カナダ、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州の北西の一角に位置するニスガ民族の村、キンコリス。

“ナス河の民”ニスガは主に流域の四つの集落に住んでいるが、キンコリスはそのひとつ、豊かな漁場に臨む河口の漁村である。

儀式の主催者であるワシ民族の長老が演説した後、若者たちがトーテムポールを取り囲み、支え棒を握ってそろりそろりと運び始める。

やがて更新が海辺の道に達するころ、東の空に太陽が現れたかと思うと、みるみるうちに青空が広がっていく。

少し進んでは止まり、また太鼓のリズムに励まされるように動き始める。

目的地に着くと、テイト家の3兄弟の陣頭指揮の下、人々が四方向に並び長い綱を引いてポールをつり上げる。

主役はポール制作者のアルヴァー・テイト。

彼は、夜の祭宴(ポトラッチ)で、1年前に亡くなった母方の大伯父の首長名を継ぐことになっている。

ポールは故人への供養でもある。

やがてポールがたち、祝いの演説や歌が始まる。先端のワシが金色に輝く。

これが、キンコリスにたった今世紀初めてのポールだ。

かつて白人政府による同化政策の圧力の下、キリスト教に改宗したニスガの一団が宣教師に率いられてこの地に移住。

以来、キンコリスは反伝統派の拠点として旧習の多くを廃してきたことで知られる。

1960年代以降の文化復興の気運の中、他の3つの村では次々にたてられたトーテムポールだが、この村にだけはまだなかった。

それがついにこの村にも復活したのだ。

ニスガの歩んできた道を、この1本のトーテムポールが象徴しているようにみえる。

100年にわたる闘いの歴史 カナダで今、ニスガ民族が注目を集めている。

それは、北米の近現代を通じて他に類例ない条約がカナダ、BC州と、この人口6000人に満たない一先住民の間に達成されようとしているからだ。

この条約に至る長い道のり、それは前世紀に遡る。

1887年、ニスガは近隣のチムシャン民族とともに州都に代表を送って、伝統的な領地における主権を主張、90年には一種の政府ともいえる「土地委員会」を結成し、1913年には英国の枢密院へ訴状を提出している。

しかし、カナダ政府はその後一方的に、かつて25000平方キロメートルの領地をもっていたといわれるニスガを76平方キロメートルの居留地に押し込め、そして、とどめをさすように先住民による土地領有権請求そのものを禁ずる法律までつくった。

しかし、政府がいつまでもニスガを封じ込めておくことはできなかった。

68年、「ニスガ部族会議」(NTC)は土地領有権をめぐる裁判紛争(コールダー事件)を開始。

その連邦最高裁での判決(73年)は、ニスガの敗訴という形をとりながらも、実質的にはその後の先住民族による土地領有権請求の根拠を与えたといわれるほどで、むしろ全国の先住民に盗って希望の象徴とさえなった。

これを受けて連邦政府は全国の先住民土地領有問題への取り組みを表明、BC州においては、90年に州政府の参加を得て、ようやく条約交渉の開始に漕ぎつけた。

交渉でその先頭をきったのもニスガだった。

そして96年には初めて「原則的合意」が結ばれ、98年夏にはついに三者が条約に署名、そのうち二者においてはその批准され、現在、カナダ連邦議会の批准によって法律化されるのを待つばかりとなっている。

誰にも止められない自治確立への流れ 条約交渉における政治手腕を高く評価されるニスガ。

だが、彼らがその一方で、先住民族として初めて独自の教育委員会を設立して、文化的な自治へ踏み出したことや、経済的自立に向けて、いち早く持続系発展のためのプロジェクトに乗り出したことはあまり知られていない。

また条約は先住民を優遇しすぎており、「平等」の理念に反する、という白人社会からの反論もある。

逆に先住民の間には、白人への妥協であり、屈服である、という意見が少なくない。

しかし、この条約は、北米大陸の片隅ですでに100年以上の間営々と続けられてきた壮大な実験の、ひとつの表現にすぎない。

ニスガをはじめとする先住諸民族における文化の再生と自治の確立へ向けた動き。

これはもう誰にもおしとどめることのできない奔流だ。

(1999年12月3日発行 週刊金曜日より転載しました)
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